さまざまな意見があっていい。
「正しい意見」など存在しない。
「正しい認識」「誤った認識」と言いきるのも怪しい。
必要なのは議論と戦略。
有益な議論をするには、なにか基準があったほうがいい。
基準に対して、自分の意見はどこが賛同できて、どこがどう賛同できないのか。
今回の安部首相の戦後70年談話は、その「基準」になりうる談話です。この談話は国際社会に対する日本のポジションニングを表明する現時点での日本の戦略です。これを受け入れるのも改革しようとするのも自由です。この談話で語られている歴史認識、諸外国との関係、今後に対する決意を飲み込んだうえで、時代の変化に合わせて軌道修正し続けることが私達ひとりひとりに求められます。
安倍談話はところどころ、刺(とげ)のようなものを感じるところが、私は気に入っています。
「百年以上前の世界には、西洋諸国を中心とした国々の広大な植民地が、広がっていました。」
⇒アジアを侵略し、クイモノにしていたのは西洋諸国でしたよね。
「欧米諸国が、植民地経済を巻き込んだ、経済のブロック化を進めると、日本経済は大きな打撃を受けました。」
⇒日本は追い込まれたんだ。と言っていますね。
「日本は、次第に、国際社会が壮絶な犠牲の上に築こうとした「新しい国際秩序」への「挑戦者」となっていった。」
⇒「挑戦者」とはちょっと美化した言い方かも。大東亜共栄圏の思想を肯定した表現でしょうか?
「その思いを実際の行動で示すため、インドネシア、フィリピンはじめ東南アジアの国々、台湾、韓国、中国など、隣人であるアジアの人々が歩んできた苦難の歴史を胸に刻み、……」
⇒順番は中国が最後なんですね
「あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません。」
⇒これで「謝罪」は終わりだよ。と宣言
「経済のブロック化が紛争の芽を育てた過去を、この胸に刻み続けます。」
⇒経済のブロック化で覇権を握ろうとする大国主義を牽制しています。
「「積極的平和主義」の旗を高く掲げ、世界の平和と繁栄にこれまで以上に貢献してまいります。」
⇒積極的平和主義、安部首相がこだわっている思想
70年前に大敗した極東の国、日本は、現在でも自国だけでは防衛できない小国ながら、世界の中でも切れ味のある小気味よい国に育ちました。地政学的に定められた重要なポジションに加え、独自の平和主義を掲げる唯一の国として、戦略的に国際社会におけるユニークなポジションを確立していくべきです。
安倍談話は現在の日本の戦略です。
まずは表明された戦略を基準に、世界の中の日本の未来、そして私たちの未来を考えていきたい。