問題です。
あなたならどれを選びますか?
エコノミスト誌という月刊誌があるとします。
そしてエコノミスト.comという直販サイトにこんな広告が。
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■年間購読のご案内
ご希望の年間購読タイプを選択して下さい。
A:エコノミスト.com(WEB版)の購読 $59
B:印刷版の購読 $125
C:印刷版およびWEB版のセット購読 $125
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さて、どれを選びましたか?
これは『予想どおりに不合理』という本に載っていた事例です。
MITの院生100人に選択させたところ、
A:16人
B:0人
C:84人
という結果になりました。
BとCが同じ価格なんて!とびっくりしませんでした?
もちろんWEB版が無料になるお得なCに人気が集まりました。
では、次の広告だったらどうでしょう?
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■年間購読のご案内
ご希望の年間購読タイプを選択して下さい。
A:エコノミスト.com(WEB版)の購読 $59
C:印刷版およびWEB版のセット購読 $125
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今度は、
A:68人
C:32人
という結果になりました。
Bという選択肢をなくしただけで、ずいぶんと結果が変わりました。
印刷版=$125ー$59=$66
「これは高い」という意識です。
ではなぜ最初の広告では、Cに集まったのでしょう?
最初の広告では、Bはおとりだったのです。
おとりがあることで、
WEB版$59⇒無料
に意識が集中してしまいます。
これを『予想どおりに不合理』では、おとり効果と呼んでいます。
わたしたちの脳は相対的に物事を判断するようにできており、ときにそれは不合理な選択をすることにつながる。つまり予想どおりに不合理。
私はこれを、無料と言わずに無料をアピールできる方法だと考えます。「無料」は集客効果がかなり高いキーワードです。でも使い方を誤るとブランド価値を損ねることがあります。
先の例では、
WEB版$59⇒無料
といってしまうと、まるでWEB版はタダ同然の価値のないもののように受け取られるかもしれません。
でもおとり効果を使うことで、無料と言わずに単価アップを狙うことができます。
もちろんおとり効果も安易に使いすぎると、「なんだかなぁ~」と思われてしまうでしょう。不要なモノをオプションで売りつけるという発想ではなく、二つのアイテムがあってどちらも顧客に満足してもらえる。と自信があるのなら2つとも買ってもらうために、おとり効果の工夫を使ってみるのも一考です。