戦国時代の剣聖、塚原卜伝(ぼくでん)。
生涯で真剣勝負19回、合戦37回、212人の
敵を討ち取り、一度も負けたことがないという
剣豪。
卜伝がいかに強かったかというエピソードがあります。
江州琵琶湖の矢走の渡し。
乗合舟で卜伝は、いかにも強そうな武士
と乗り合わせました。
その武士は「ワシより強いものはいない」
といばりちらし、
周りの乗客は甚だ迷惑に思っていました。
卜伝が一言注意をしたところ、
武士が「お主は何流だ?俺と勝負しろ」
と息巻きました。
卜伝は、「ワシは無手勝流を少々」と答え、
武士はますますヒートアップ。
卜伝は、
「陸は見物人が集まってわずらわしいので、
向こうの離れ島で相手をしよう」
と言って、島に舟を着けさせました。
はやる武士は、腰の太刀を抜き、島に飛び降りました。
それを見た卜伝は、船頭から棹を借りると、
おもむろに棹で岸を突いて、
舟を島から離してしまいました。
残された武士は、「卑怯者!」とわめきちらし
ましたが、あとの祭。
卜伝は、
「これが無手勝流の極意だ。
少しは島で頭を冷やせ」と武士を諭しました。
乗合船の乗客たちは、腹の底から笑い転げました。
戦わずして勝つ。
これが武道の極意なのです。マーケティング戦略においても、同じです。
最も優れた戦略は、戦わずに勝つことなのです。
商売をするには、競合の存在を避けて
とおることはできません。
強力な競合がすでにいるマーケット、
大手が何社もいるマーケット、
そんなマーケットで、
後発の零細企業がまともにぶつかって、
勝てる見込みはありません。
戦わずに勝つには、いろいろな方法が
ありますが、そのひとつが、
ニッチトップを目指す。
という戦略です。つまり競合がいない、あるいは見逃している
マーケットを探して、そのすきまで
ナンバーワンを狙うのです。
そしてニッチトップ戦略に欠かせないのが、
STPフレームワークです。
競合とかぶらないセグメントの組み合わせを
発見、創造して、
独自の顧客ターゲットを絞り込み、
ニッチポジションを確立するわけです。