前回:
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セブンカフェドーナツが1月19日からリニューアルされます。
一部報道では、
「売上伸びず、全面刷新」読売新聞
「販売テコ入れ」日経新聞
などと表現されていますが、目標売上に届いていようがい…
セブンカフェドーナツが1月19日からリニューアルされます。
一部報道では、
「売上伸びず、全面刷新」読売新聞
「販売テコ入れ」日経新聞
などと表現されていますが、目標売上に届いていようがいまいが、このリニューアルは、セブン-イレブンお得意の改善活動の一環であり既定路線です。
むしろセブンカフェドーナツの戦略の一部といっていいでしょう。
人々の頭の中にあるドーナツのコストパフォーマンス感覚を変える
という戦略です。
セブンカフェドーナツが登場したとき、人々の頭の中には、各社のドーナツはつぎのようなプロットがなんとなく浮かんでいたはずです。
S:セブンカフェドーナツ
M:ミスタードーナツ
C:クリスピークリームドーナツ

価格が高ければ質も高くなる
というごく当たり前のことがドーナツ市場で起きていると。
ですから、「やっぱりミスタードーナツのほうが美味しいね。」という意見も出ますし、この時点ではコストパフォーマンスは対等で、ある程度の住み分けができています。
前回:
セブンカフェドーナツが1月19日からリニューアルされます。
一部報道では、
「売上伸びず、全面刷新」読売新聞
「販売テコ入れ」日経新聞
などと表現されていますが、目標売上に届いていようがい…
セブンカフェドーナツは、セントラルキッチン方式のメリットを活かして、同価格で質を上げる努力を絶えず行います。その結果、S、M、Cの位置関係に変化が現れます。

矢印が今回のリニューアルです。これでも、まだミスタードーナツのほうが質で勝っているので、「やっぱりミスタードーナツのほうが美味しいね。」という意見は相変わらず出ることでしょう。しかしポイントは、セブンカフェドーナツVS.ミスタードーナツという構図の話題が、盛り上がれば盛り上がるほど、人々の頭の中のブロットが変化します。

S、M、Cの相対的な位置関係はまったく変わっていないのですが、頭の中に新たなコストパフォーマンス直線の感覚が芽生えてきます。こうなるとミスタードーナツやクリスピークリームドーナツが割高に思えてきます。
ミスタードーナツは、そうなることを見越して様々な手を打っています。

出典:ミスタードーナツ
たとえば、1月5日から販売開始した、
クリームブリュレドーナツ 172円
『ミスドは手づくり』
というキャンペーン。
「丁寧キャラメリゼ」と謳っていますが、なんのことはない、バーナーで表面を焼いているだけです。回転寿司のあぶりトロサーモンの演出と変わりありません。とはいえ上手に魅力的にアピールできています。
ただし、矢印の方向が、質も上げて価格も上げるという斜め上の方向です。これではコストパフォーマンス直線が上昇した時に、効果がありません。
これがいわゆるイノベーションのジレンマです。質が劣り価格が安い強力な競合が別の業界から出現したとき、既存企業は高価格路線に押しやられシェアを落としていきます。
ミスタードーナツは高価格路線だけでは売上目標を確保できないので、100円キャンペーンが常態化しています。
矢印の方向は、質が同じで価格を下げていますから左向きです。これならセブンカフェドーナツが仕掛けたコストパフォーマンス直線上に乗ってきます。しかし値下げの常態化は、ミスタードーナツの利益を確実に減らし体力を徐々に衰えさせます。ミスタードーナツは「手づくり」ですから、コストの削減には限界があるのです。
ミスタードーナツが本来やるべき努力は、真上の矢印です。同じ価格で質を上げることです。「やっぱりミスタードーナツは段違いでうまい、ホンモノは違う!」と言ってもらえるような商品改善体質がミスタードーナツにあるかどうかが問われています。