スマホの燃料、リチウムイオン電池。
不満です!
- すぐになくなる。
- 充電に時間がかかる。
- 劣化する。
- 交換するとめちゃ高い。
ソニーでバッテリースピーカーなるものを開発していたとき、はじめはリチウムイオン電池を検討していました。そのときにバッテリーメーカーさんに教わったリチウムイオン電池の使いこなし方。
- 満充電の状態を避ける
- 余力を残して充電
- 熱くさせない
- 充電回数を減らす
このリチウムイオン電池を長持ちさせるコツ、1.2と4.が矛盾しています。こまめに充電しろ!いやするな!と同時に言われているようなものです。
とうことでリチウムイオン電池は、使いこなしにくい!!
そんな現状を打破しつつあるのが、オリビン型リチウムイオン電池です。オリビン型とは聞き慣れないですね。
リチウムイオン電池は、正極材にレアメタルのコバルトが使われており、高価でしかも発火事故の元凶にもなっています。この正極材に、特殊な結晶構造を持つオリビン型リン酸鉄リチウムを用いたのが、オリビン型リチウムイオン電池です。ソニーやエリーパワーが量産化しています。
特長は、
1.長寿命
5000回充放電を繰り返しても、容量80%以上維持
2.急速充電30分で99%充電
3.安全高温でも熱安定性高
ソニーはこのオリビン型リチウムイオンを使って、家庭用蓄電池を発売しています。災害時に停電しても、しばらくコンセントのかわりに使えます。自己放電が少ないので、一度充電しておけば1年間放置しても90%の容量を保っています。もしものときにはスマホなら30回分充電、25ワット相当のLED電球なら10時間点灯できます。
出典:ソニー ホームエネルギーサーバー
この製品の開発ストーリーが泣かせます。
長年の技術革新と被災地での体験から
生まれた家庭用小型蓄電池
福島県郡山の事業所で、2011年3月大震災を経験したソニーエナジーデバイスの社員たちは、蓄電の重要さを身をもって知りました。3月中に開発をスタートし、全社一丸でたった半年で発売にこぎつけました。これは異例のスピードです。
蓄電システム開発室室長の山崎さんのこの言葉が、商品開発のキモを端的に表しているので、全文引用します。
山崎:震災を経験せず平時に開発していたら、恐らくCP-S300シリーズにはラジオや懐中電灯やら、いろんな機能が付属していたと思うんです。非常時や緊急時をみんなが体験したからこそ、無言のうちに本当に必要な機能への意見の一致を見ることができました。搭載する必要な機能を最初に決めて、以降はその軸をブレさせなかったから、開発も製造もスピード感をもって進められた。
開発にかかわる全員が、ユーザーの境遇に心の底から共感したとき、爆発的な開発スピードが生まれるのだと思います。
エネルギーの小型分散化は、世界規模で進んでいくはずです。20世紀は一極集中の大規模発電所から大電力を広範囲にばらまくようなやり方でした。21世紀は、局所的な発電、局所的な蓄電が網の目のようにつながる社会に変わっていくはずです。そのキーデバイスは、中小型の充電バッテリーなのです。オリビン型リチウムイオン電池は、そんな近未来を予感させる将来性のある技術です。