昨日8月9日は日本にとってなんでもない日でもなんでもなく、長崎に原爆を落とされた日でした。改めて平和や国家、戦争について考える日でした。

それなのにそれなのに、ディズニーは、

「なんでもない日おめでとう。」

と公式Twitterから投稿してしまいました。

これに対し、

「日本国民をバカにしとんのか?」

など、批判が殺到。

 

でもちょっと冷静になりましょう。
日本でがっぽり儲けているディズニーが、わざわざ日本国民の感情を逆なでする投稿をするでしょうか?
これはなにかのミスなんじゃないか?

「とんでもないコトだゾこれは!!」

と怒りの反応をする前に、それくらいは考えてみてもいいでしょう。そして次に、どうしてこんなミスが起こったのか、ちょっとだけでも探ってみる心の余裕が欲しい。

 

事実、「なんでもない日おめでとう」は、不思議の国のアリスに出てくるエピソードで、

“A VERY MERRY UNBIRTHDAY TO YOU!”

誕生日でない残り364日を祝おう!といういかにもルイス・キャロルお好みのパロディです。

 

♪酒が呑める呑めるぞ酒が呑めるぞ

の歌を思い出しました。

♪1月は正月で酒が呑めるぞ……
♪2月は豆まきで酒が呑めるぞ……
と、どんどん続いて、
♪11月はなんでもないけど酒が呑めるぞ……
と、なります。

UNBIRTHDAY

を「なんでもない日」と訳したのは、なかなかいい訳だと思います。「誕生日ではない日」という訳では、ルイス・キャロルが言いたかったことが伝わりません。なんでもない日は平和の日でもあります。今日もなんでもない日を祝いましょう。

ディズニーの投稿は、画像で、
“A VERY MERRY UNBIRTHDAY TO YOU!”
と示したうえで、日本語訳「なんでもない日おめでとう。」を追加しました。この日本語訳がなかったら、批判が殺到することはなかったでしょう。

unbirthday
出典:ITmedia

ディズニーもミスを認めて、投稿を削除し不適切な表現を謝罪しました。

 

問題は、ミスが起きたこと以上に、このTwitter投稿をまるで悪意があるかのように拡散することです。このような悪意を含む拡散は、日米の相互理解の溝を深めるばかりでお互いになんのメリットもありません。溝を深めることを望む人たちもこの世界にいるという視点も大切です。

同じく、安保関連法案を「戦争法案」と訳して、反射的に「戦争はんたーい、はんたーい!」というのも溝を深めるばかりです。

1931年9月18日、中華民国において関東軍が南満州鉄道の線路を爆破。それからわずか5ヶ月で関東軍は満州全土を占領しました。いわゆる満洲事変。これをきっかけに日本は国際的に孤立し日中戦争、太平洋戦争に突入していくのです。この9月18日という日を、私達は覚えているでしょうか?9月18日に中国に配慮した情報発信ができるでしょうか?

いまでもアメリカでは、原爆投下は戦争終結のために止むを得なかった。という考えが主流のようです。しかし大事なことは、若い世代では原爆投下が誤りと考える人の割合が増加しているという事実です。

「原爆投下は誤りだ」と考える人をもっと増やしましょう!

それは、悪意のあるメッセージに反射的に反応しない。ディズニーのミスをあえて拡散しない。ということでも参加できる、ひとりひとりのキャンペーンです。

UNBIRTHDAYでない日に、私はそう願います。