見えるものと見えないもの、どちらを大切に守りますか?

どちらにしても大切な守るべきものは守りたいですよね。
ただ人によって、どちらがより守るべきものだと考えるかは異なります。

 

つけ麺の元祖、大勝軒の弟子たちが内部分裂しました。

今年4月、80歳で亡くなった東池袋大勝軒の創業者山岸一雄さん。後年山岸さんは多くの弟子を受け入れ、そのワザを惜しげもなく教えました。全国に100軒もの「大勝軒」があると言われています。

大勝軒山岸さん
出典:大勝軒 のれん会

 

弟子たちが自主的につくった互助会「大勝軒 のれん会」に対して、不満をもつ弟子たちが、「大勝軒 味と心を守る会」を新たに発足させました。

 

このネーミングを見れば、見えるものと見えないもの、どちらがどちらを守ろうとしているかは一目瞭然です。

大勝軒のれん会=見えるもの(のれん)を守る
大勝軒味と心を守る会=見えないもの(味と心)を守る

 

味と心を守る会の主張は、

「店のPR取材の対応や、新商品開発(カップラーメン)などが本店の許可を得なければならず自由がなかった」

というもの。

のれん会は、大勝軒というのれん=ブランドを守るために作られた組織です。ですから、PRや新商品戦略は極めて重要な案件で、ブランドの一貫性を保たなければなりません。全国に100店舗もある大勝軒が、個別に勝手にできるわけがありません。

 

味と心を守る会の不満は、実はそこではないように思います。大勝軒の内部事情はよくわかりませんが、味と心を守る会は、そのネーミングどうり、のれん会の「味」と「心」に不満があるのではないでしょうか。「味」と「心」は見えないだけに、外から真実はなかなか見えてきません。

のれん会は見えるもの=のれんを守る。
味と心を守る会は見えないもの=味と心を守る。

それでいいのではないでしょうか。

 

そして、味と心を守る会が決断すべきことは、
見えるもの=大勝軒ののれん
にこだわらないということです。

変えていいものは見えるものの中にあり、
変えてはいけないものは見えないものの中にあります。

もし、のれん会の「味」と「心」に不満がありそれが内部から変革することがどうしてもできないのなら、大勝軒ののれんにはこだわらず、山岸さんの本当の「味」と「心」と信じるものを受け継ぐ店を出して、組織化したほうがいいと思います。

しかし、そうして新しく創りあげた組織も、いつか自分たちがやったことと同じように、弟子が分裂することも覚悟しておいたほうがよいでしょう。

 

私は、山岸さんの「心」を真に受け継いだ人こそが、残っていくと予測しています。