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ライフスタイルをイメージする、ラック職人島崇

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生まれ育った環境と物理の実験が生んだ将来像

pic_01シアタースタンドシステムの開発に携わり、「RHT-G2000」(※)「RHT-G1000」などを手掛けてきたラック職人・島崇は、オーディオ好きの父親の影響により、家そのものが“オーディオラック”とも呼べる環境下で育った。幼少の頃からの深い音楽との関わりと、高校時代に経験した物理の実験が、島の将来に大きな影響を及ぼしていく。

僕の親がオーディオマニアで、もともと家にすごく大きいスピーカーがありました。当時はまだレコードプレーヤーを使っていましたが、スピーカーの振動をプレーヤーに伝えたくないという理由から、親が家を改築してスピーカーのためだけの基礎、土台を作ってしまったんです。そういう環境で育ったので、僕は生まれたときから真空管アンプとトランジスタアンプの聴き分けを自然にやっていたんです。
当時から“音”には当然興味があったのですが、その興味を将来の仕事に関連付けたのが、高校生のときです。物理の授業で音のサイン波の実験をやったのがキッカケでした。物理の成績は当時芳しくなかったのですが、オシロスコープというのを初めてさわってみましたし、その実験がとても面白かったので、それ以来サイン波に心をうばわれてしまったんです。さらにその実験発表でも、僕の発表が当時好きだった女の子から「良かったよ」と褒められまして(笑)。それが今の仕事にも影響していて、多くの人たちの前で何かを説明して、納得してもらうというのがすごく好きになりました。

ソニーを選んだ理由は”人と同じことをやるのがすきではない”から

pic_02すでに子どもの頃からソニー製品を意識していた島は、自然の流れで大学院卒業後の進路にソニーを選択する。入社後配属先は総合研究所だった。

僕の父親がソニー製品を使っていたからでしょうか、僕は子どもの頃からソニーには「格好いい」というイメージを持っており、就職先は「ソニーしかない」と決めていましたね。あとは性格的に人と同じことをやるのが好きではなかったので、ソニーは自分に合っているなというのも就職を決めた理由です。
入社後、最初は総合研究所へ配属になりましたけど、今考えればそこでやっていたことが現在の製品開発につながっていると思います。当時、僕のひとつ上の先輩がフロントスピーカーだけでどのようにサラウンドにするかという研究をやっていたんです。それを僕はそばから見ていました。

理想を現実化する

その後、S-Masterフルデジタルアンプの開発に携わった島は、そこでの経験から“効率性”を強く意識する。それは、これまで自身が抱いていた先入観を覆していくことにもつながっていった。

1998年にはS-Masterフルデジタルアンプの開発に携わりました。デジタルアンプだとアナログよりも効率がよく、大きさも小さくすることができる。そこで効率性ということを考え、当時のソニー製のスピーカーに、リチウムイオンのバッテリーとS-Masterフルデジタルアンプをつないでみました。バッテリーを使うことで電源ケーブルがなくなり、音質も結構良かった上に30時間ぐらい使うことができました。ここにワイヤレスで信号を飛ばせば、全く配線のない効率の良いスピーカーができあがるとひらめいたんです。

<HT-SL99BW>

<HT-SL99BW>



そして年に1度の社内の技術交換会の際に、僕はその完全なワイヤレススピーカーを発表しました。比較的良い評価をいただいた中で、特に「私はこういうケーブルのない物が欲しかったんです。出たらすぐ買います」といった感想を多くいただきました。このことで具体的なお客様のイメージが沸いてきました。「朝早くに仕事へと出て行き、夜遅くに帰ってくることの多いビジネスパーソンよりも、むしろ家で仕事をしたり、家で多くの時間を過ごしたりする人の方が、AVアンプやリアスピーカーの効率性を求めているんじゃないか?」ということです。実際にそのスピーカーは「HT-SL99BW」として製品化しました。ただ、バッテリーの値段が高かったため、製品そのものの値段も高くなってしまったんですけど。

常に消費者のニーズを意識する視点

2004年からシアタースタンドシステムの開発に着手する島は、効率性と理想を模索し、そこでひらめいた斬新な発想をもとにホームシアター内蔵ラックの開発を進めていく。

その後、北米のマーケットから「ソニー製のスピーカー内蔵ラックが欲しい」との要望をいただき、僕が担当することになりました。最初に手掛けたものを、実際に北米の担当者に見てもらいましたが、反応はいまひとつでした。そこで、事業部長から「フロントサラウンドの技術をうまく使ってみたら?」と言われ、そのときに技術交換会でいただいた感想を思い出しました。北米のマーケットに出ていたラックは、アンプやサブウーファーが別にある物でしたから、効率性を考えたとき、スピーカー内蔵ラックの中にアンプ、サブウーファー、リアスピーカーを入れてしまえば、真のワイヤレスになるんじゃないかと思ったんです。

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しかし、問題はサブウーファーにありました。外付けではなく、なんとかしてラックの中に入れたいと考えていましたが、そうするとどうしても振動の問題を克服しなければいけません。サブウーファーはすごく振動するものなので、取り付けることでラック自体が振動してしまいます。しかもそのラックに置いた機器がCDプレーヤーだったら音飛びも起こしてしまいます。そこでスピーカーのエキスパートに相談して出てきたのが、対向型のスピーカーでした。2本のユニットを左右均等に配置して、振動をキャンセルサブウーファーの構造を作り出し、ラックへの固定方法を工夫することで、ラックや床に振動を伝えにくくすることが可能になりました。今になって考えてみれば、僕が子どもの頃、親がスピーカーのために基礎工事をして、振動を伝えないようにしたことと一緒だなと思います。

”ホームシアター内蔵ラック”製品誕生後、島は自ら販売店に出向くことで、ユーザー側の視点をさらに深めていくことになる。

<RHT-G1000>

<RHT-G1000>



そうやって完成した製品が「RHT-G1000」です。でも、これらの製品は発売した当初は思ったほど数が伸びませんでした。というのは、当時テレビ売り場とオーディオ売り場は分かれており、これらの製品はオーディオ売り場に並べられていたんです。本当はテレビを購入された方に見ていただきたい製品だったんですが。
その状況を変えたのが、”ブラビアリンク”です。HDMIケーブルでつなぐことによって連動するので、非常に簡単に使うことができる。次の製品に搭載したことによって、テレビと一緒に売り場に置いてもらえるようになりました。そのおかげで売り上げが一気に伸びました。
「RHT-G1000」が発売された頃、大阪のソニースタイルストアで僕が直接販売することがありました。その際、お客様との会話の中でいろいろなヒントをいただけたとともに、お客様とつながることの重要性を感じました。「たとえ直接つながっていなくても、お客様の生活をイメージできることが大事だ」。そう思うようになったんです。

さらなる理想を追い求める

“お客様の生活をイメージする”ことで、島が手掛けたホームシアター内蔵ラックは、さらなる進化形態へと進んだ。2008年に発売された「RHT-G900」は、その完成形のひとつだという。
開発当初からのホームシアター内蔵ラックは、サラウンドスピーカーが横についていました。しかし、日本のライフスタイルを考えると、テレビの横に家具を置いたり、横壁にぴったりつけたりするケースもあると思います。そこで「RHT-G900」のサラウンドスピーカーには30度の角度を付けることにしました。さらにフロントサラウンドの技術も新開発しました。それで横に家具を置いても平気ですし、サラウンド効果もちゃんと得られるんです。
もちろん、ライフスタイルによって求められるものは変わってきますが、ひとつのライフスタイルに合った完成形のラックが、この「RHT-G900」だと思っています。

pic_06流れ行く時代とともに、人々のライフスタイルもまた変化していく。島は音響の将来像として、“スピーカーの存在を消した見えないスピーカー”という形を見据えている。

これからテレビはどんどん薄くなっていくでしょう。薄くなると壁掛け式になるのでテレビの置き台としてのラックはいらなくなる。そのときに、ホームシアターに限らず音をどう楽しむかということを考えています。中国やヨーロッパでのテレビの壁掛け率はすでに高い。そのライフスタイルに提案できるものは何かというのがこれからのテーマじゃないでしょうか。そこには新たな技術で、“ブラビアリンク”のような連携機能など、さまざまなことができるようになると思います。例えば、音はするけどスピーカーの存在を消した“見えないスピーカー”というのも、ひとつの理想でしょうね。
自分自身は“職人”という言葉が似つかわしくないと思っています。たしかに先頭を突っ走っていたのは僕なんですけど、いつの間にか優秀なエンジニアたちに囲まれ、彼らがサポートしてくれている。それが形になっていき、効率の良いものができあがっていく。それがいつものパターンだったんです。だから僕は“職人”というよりは、エンジニアとお客様をつなぐことが役目だと思っています。

 

島崇のホームシアターの選び方

<RHT-G900> スタイリッシュなデザインのAVラックにAVアンプと5.1chスピーカーを内蔵。「S-Force PRO フロントサラウンド」により、前方のスピーカーだけで臨場感豊かな5.1chサラウンドが楽しめる。

<RHT-G900>
スタイリッシュなデザインのAVラックにAVアンプと5.1chスピーカーを内蔵。「S-Force PRO フロントサラウンド」により、前方のスピーカーだけで臨場感豊かな5.1chサラウンドが楽しめる。



「ホームシアター」という言葉は、もう古いのかもしれません。家庭の中で音を出す用途は、ホームシアターだけではないと思うんです。今は地上デジタル放送も5.1chになってきており、テレビドラマ、音楽番組、スポーツ中継など、音源と映像の両方で良いコンテンツが出てきているので、ホームシアターで音を楽しむのはもう映画だけではないと思います。もちろんAVアンプを買って、部屋にサラウンドスピーカーを置ける方はいらっしゃるでしょうから、そういう方にはそのライフスタイルに合った製品があります。ただし、そうでない方、もっと簡単に使いたい方には、「RHT-G900」はぜひともおすすめしたい製品です。薄型テレビに買い換えようというときに、ドラマ、音楽のライブ放送などを、自然に楽しむという選択肢に、「RHT-G900」を入れて欲しいと思います。

img_proソニー株式会社 オーディオ・ビデオ事業本部 第1ビジネス部門 4部1課
エレクトリックテクニカルマネージャー
島 崇

1992年ソニー入社。S-Masterフルデジタルアンプ、赤外線空間伝送システムの開発に携わった後、2004年よりシアタースタンドシステムの開発をスタート。ホームシアター内蔵ラック「RHT-G2000」(※)「RHT-G1000」「RHT-G800」「RHT-G1200」「RHT-G900」の開発を手掛ける。
※「RHT-G2000」は北米のみで販売されたモデル




My Sonyメールマガジン 2008年8月7日号


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