努力は報われる。

誰もがそう教えられてきました。
コツコツ努力を積み重ねれば必ず花が咲く、と。

ところが、

世の中そんなに甘くない。

と、これまた誰もが経験上、そう思うようになります。

努力は報われる。
世の中そんなに甘くない。

この二つの言葉は一見矛盾しているようですが、
どちらも的を得ています。
矛盾しているように感じるのは、
期待と現実にギャップがあるからです。

練習量と上達度の経過を表した、

S-shaped learning curve

というものがあります。
このカーブで期待と現実のギャップが説明できます。

上達曲線+期待直線

努力は報われる。

という言葉は、努力を積み重ねただけ結果に現れる。
というイメージを連想します。
これが期待直線です。
練習すればするほど、上達するはずだ、と。

しかし現実は期待直線のようにはならず、上達曲線のようになります。
最初新しいことをちょっとやり始めると、楽しくてしようがありません。
「あれ?思ったよりできるかも」
なーんて思ったりして、どんどんやりたくなります。
期待直線を上達曲線が上回っている状態です。

でもそんな時期はあっという間に過ぎて、
練習してもしても、なかなか上達しない時期がすぐに訪れます。
この時期がとても長いのです。

やればやるほどに、期待と現実のギャップは大きくなります。
たいていの人はここでやめてしまいます。
そしてこう思うのです。

努力は報われる、なんてウソだ。
世の中そんなに甘くない。

これを世の中では挫折と呼びます。

本当に上達を実感できるのは、長いトンネルを抜けたあとです。
あるとき急激に上達する時期がやってきます。

娘がこの半年ほど東進ハイスクールで集中的に英語を学びました。
ようやく上達を実感し始めたようです。
YouTubeで英語の動画を見るときの反応を見れば、よくわかります。

当初から言われていたことが2つありました。

安河内哲也先生「英語は練習だ。理屈じゃない」
渡辺勝彦先生「最初は結果が出ない。あるときから急に伸びる」

言われたとおりになりました。

上達曲線の横軸は、練習量です。時間ではありません。
よく学習曲線として横軸=時間で説明しているものがありますが、これは間違い。
英文をどんなに時間をかけて読んでも、効果は上がりません。

安河内先生曰く、

英語はピアノの練習と同じ。
楽譜の読み方をどんなに研究しても、ピアノを弾けるようにはならない。
プラクティス、プラクティス、プラクティス!!!

これはどんなことでも当てはまることですね。

渡辺先生は、

私がいう順番どおりに、言われたとおりにやれば必ず結果が出ます。
ただしすぐに結果が出るとは思わないでください。
必ず急激に伸びるときがきます。

これもどんなことでも当てはまりそうですね。

受験勉強には賛否がつきものですが、
私の経験から言えることは、

受験で上達曲線を実感できれば、

努力は報われる。
世の中そんなに甘くない。

どちらも矛盾していないことを身をもって一度は体験できる。
ということでしょう。
その体験がその後のあらゆることへの取り組み方に影響を与えます。

次回は、上達曲線と人工知能についてです。

ヒトの進化を加速させる人工知能
GoogleのAlphaGoが、囲碁の世界ランキング4位にランキングされました。世界ランク4位だったLee Sedolに4勝1敗したのですから、当然ですね。 AlphaGoに使われているDQN(Deep Q-Network)というアルゴ…