コンビニでフローズンケーキを見たこと
ありませんか?

シリーズ「飛躍の瞬間」
第7回は、冷凍ケーキの五洋食品産業を
取り上げます。

生ケーキって、冷えていないと
想像以上においしくありません。

かといって、冷蔵庫で一晩過ごした
ケーキもいまいち。

ケーキは買って帰ってから、
食べどきがあるんです。

では、食べたい時にいつでも
最高の状態で食べられるケーキはいかがでしょう。

それを実現したのが、五洋食品産業の
フローズンケーキです。

冷凍ケーキ

 

 

 

 

出典:フローズンケーキ

最適な状態で冷凍し、必要な分だけ
解凍し、そのときに最高においしい味
になるように設計されています。

それまでの冷凍ケーキは、業務用で
技術開発がすすみ、輸送のために、
味の劣化を犠牲にしていました。

五洋食品産業は、
この真逆をコンセプトに、
一般消費者向けに販路を開拓し、
業績を飛躍的に伸ばしました。

五洋食品産業の社長は、
元日野自動車のエンジン設計者です。

父親の業務用冷凍ピザの会社に入社してから、
経営不振、父親の急病が重なり、
経営をバトンタッチ。

経営資源を冷凍ケーキに絞り込み、
自動車メーカーで培った、
試作、開発、売り込みの設計プロセスを、
冷凍ケーキにも応用しました。

次から次へと試作を繰り返し、
得意先に売り込みました。

その努力が実り、生協のチラシに
掲載が決まり、ようやく業績が
上向きました。

しかし生協というクローズマーケット
では、業績は安定しない。
急激に売れることがあっても、
なぜ売れたのかの理由がわからない。

元エンジニアの社長は、
それがもどかしかったのでしょう。

インターネット直販をスタートしました。

これが見事に注文がこない。

すでにネットには菓子メーカーや、
ケーキ屋さんの冷凍ケーキで、
あふれかえっており、
五洋食品はすっかりネットで、
埋没していたのです。

そこで、取り組んだのが、
お客さん視点のキャッチフレーズを
つくることでした。

こうして生まれたのが、冒頭の、
「食べたいときにいつでも
最高の状態で食べられるケーキ」
なのです。

見向きのしなかったバイヤーたちが、
興味を持ち始め、
最終的には大手コンビニの販売に
つながり、売り上げは飛躍的に
拡大しました。

五洋食品産業の飛躍の瞬間は、
インターネット直販に参入
したときです。

顧客視点のコンセプトを固められたのは、
直販の経験があったからでした。

直販でのダイレクトな顧客の反応を、
ドライブに、大手バイヤーの心を
つかみ、その先の顧客の心も
同時につかんだのです。

すべてを直販に切り替える必要は
ありません。

直販に真摯に向き合うことで、
代理店販売にまで、
好影響が波及するのです。

2000年事実上破綻状態であった、
福岡県糸島市の五洋食品産業は、
2012年、東証上場企業となりました。