わかる直販売上アップ講座
【第1回】フレームワークの使い方
【第2回】4P
【第3回】4P、Place(流通)
【第4回】4P、Product(製品)

と進んできました。次の
4P、Price(価格)にいく前に、
価格にこだわりをもったビジネスモデルのケースを、
ご紹介します。

カンブリア宮殿にも登場した、
メーカーズシャツ鎌倉
です。

鎌倉シャツ

私は、ほぼここのシャツしか買いません。

単純に着心地がいいのです。
余計なひっかかり、ツッパリ感がありません。

そしてなにより、お値段が手頃。

4,900円(税抜)

そしてすべてのシャツが、
この価格で統一されています。

これはありがたいです。

服の買い物が、若干億劫な私にとって、
価格が統一されていると、
悩む要素が少なくて助かります。

とにかく目的にあったもの、気に入ったもの、
を選べばよいだけなのです。

お店の店員さんも、たった4,900円なのに、
まるで49,000円の服でも選ぶように、
実に親身になって、相談に乗って
くださいます。

結局、何枚も買ってしまうのです。

創業者の貞末良雄会長が目指したのは、

「4,900円の最高品質のシャツを作る」

ということでした。

創業した1993年当時、本物のシャツが
2万円程度する時代に、
「サラリーマンがシャツ一枚に気軽に
出せる上限は、飲み代1回分の4,900円」
と考え、まず価格を決めました。

そのポリシーは今でも変わっていません。
どんなに原価がかさんでも、
天然素材にこだわり、
販売価格を20年変えていません。

 

価格は、どこの業界でもたいてい、
積み上げ方式です。アパレル業界においても
それは同じです。

生地のコスト、工賃、輸送費、などを加算して、
価格を決定します。

しかしメーカーズシャツ鎌倉は、
在庫を持たない現金一括買い取りを徹底
することで、生産工場と安定的な取引をして、
コストを下げています。

このようなアパレルのビジネスモデルは、
ユニクロ、ZARA、H&Mなどと同じやり方で、
SPA(Speciality store retailer of Private label Apparel)
と呼ばれています。

特にメーカーズシャツ鎌倉は、
生産以外の機能をすべてもっているので、
私は、このような業態を、
ファブレス直販
と呼んでいます。

ファブレス直販で大成功している会社に、
産業用FAセンサで有名なキーエンスがあります。

メーカーズシャツ鎌倉とキーエンスに
共通するのは、

価格が崩れない。

ことです。

メーカーズシャツ鎌倉に、
セールという概念はありません。

いついっても同じ価格。
企画から店頭に並ぶまで3~4週間。
多品種少量生産で在庫なし。

すべては、4,900円という価格から
出発してできあがったビジネスモデル
なのです。

国内24店舗、年商28億にまで、躍進した
メーカーズシャツ鎌倉は、
2012年、ついにニューヨークに出店。
79ドルのシャツが評判を呼んでいます。