2000年シドニーオリンピック柔道男子100キロ超級の決勝。フランスのドゥイエの仕掛けた内股を、篠原は内股すかしで見事に返し、ドゥイエは背中から畳に転がされました。

ガッツポーズの篠原。肩を落とすドゥイエ。

近くにいた副審は篠原の一本と判定。
しかし、主審ともうひとりの副審はドゥイエの有効と判定。

ルール上、ドゥイエの有効が確定しました。

今も世紀の誤審と語り継がれるこの判定により、篠原は結局銀メダルに。NHK有働由美子アナウンサーは、涙をこらえてその結果を放送しました。



試合後、篠原は「自分が弱いから負けた」と語りました。

 

日本の柔道から世界のJUDOになった今も、礼節を重んずる武道としての柔道に、世界中で魅力が集まっています。

登録競技人口は、日本20万人に対してフランス50万人。欧州、ロシア、ブラジルなど199カ国が国際柔道連盟に加盟。すでに日本の柔道ではなく世界のJUDOです。

試合に使う道衣は、観客が見分けやすいように青の柔道衣が導入されました。欧州の柔道連盟はさらにすすめて、赤、緑、黄などのカラー柔道衣の導入を提案していますが、日本は反対しています。実は日本の国内試合では、いまだに白しか認められていません。

国際化、競技化のために、試合のルールも国際柔道連盟が主導して規定が改められてきました。

柔道
出典:International Judo Federation

こうして柔道の見た目は変化しながら、国際競技としてのJUDOは発展してきました。

しかし、礼に始まり礼に終わる柔道の精神は、今も試合だけにとどまらず稽古の場でも大切にされています。

それがJUDOの魅力であり、今後も変えてはいけないものです。

今でもルール上、選手が審判に判定に対して抗議することは許されていません。