いきものがかり。

多くのファンを持つ、ヒットメーカー。
ヒットする新曲が、いつも
いきものがかりらしさを保ちつつ、
ワンパターンではない、新しさを
兼ね備えている魅力があります。

そんな彼らの原点は、
海老名駅周辺での路上ライブ。

その時の想いを彼らはこう語っています。

「私はこんな思いなんです、
と路上で一方的に歌っても、
誰も見向きもしない」

「関係ない人たちを立ち止まらせ、
楽しんでもらうにはどうすればいいかを
常に考えてきた」

「自分が歩行者ならと客観視して……」。

朝日新聞 8/5夕刊より

路上という不特定多数を相手にする、
厳しいマーケットで、
彼らは、少しでも立ち止まって耳を傾けて
もらうための、
改善のサイクルをまわしていたのです。

作り手の一方的な想いの発信ではダメ。
常に反応を見て、変えていく。
顧客の立場で考える。

路上はまさに直販の市場そのものです。
そして、路上ライブを重ねて、知らず知らずに、

小さく、はやく、たくさん

改善サイクルをまわすことで、
自分たちのポジショニング、
ターゲット、
を絞っていったのです。

アーティスト

本人は、

「歌謡曲を目指して、老若男女問わず
聴いてもらえる曲を心がけたから、
幅広い層に共感を得た」

と語っていますが、
ターゲットを拡げたわけでは決してありません。

セグメンテーションの年齢、性別以外の
自分たちならではの軸を見つけて、
絞りこんでポジショニングした結果なのです。

たとえばこんな軸です。

曲の主人公に自分または誰かを投影できるか

ひとつの曲が、老若男女、誰にとっても、
投影できるとすれば、それはユニークな
ポジションになりえます。

 

いきものがかりをスターにした、
「SAKURA」。

水野良樹は、ディレクターと歌詞制作の
やりとりを数十回も重ねました。
30パターン近いボツになった歌詞が
あって、あの最終形があるのです。

その改善サイクルをまわす姿勢は、
今も変わりません。