白元は数々のロングセラーを
生み出してきました。

戦前からナフタリンや樟脳を使った
防虫防臭剤を作っていた白元は、
戦後、タンス用の防虫剤「パラゾール」
で大きく躍進します。

1963年、当時冷蔵庫が普及期に入って
いました。白元は得意の防臭技術を応用して、
冷蔵庫用防臭剤「ノンスメル」を開発。

ネーミングが秀逸ですね。

 

このネーミングを受け継いだのが、
「アイスノン」。
昭和初期は、熱が出ると氷枕が
使われていました。
実家にもありましたが、
氷の角が頭にあたって、すこぶる寝心地が悪い。
タオルでぐるぐる巻きにすると、
冷たさを感じない。
氷が溶けてくると、寝返りのたびにガラガラと
音がして、快適には程遠い代物でした。

白元創業者の鎌田泉は、柔らかい保冷パック型の
氷枕の開発を思い立ちます。
風邪を引いて寝込んだときに飲んだくず湯の
保温力がヒントになり、ゲルを用いることを
思いつきました。

アイスノン
出典:白元アース

その後の冷蔵冷凍庫の普及と共に、
アイスノンは年間600万個も売れる
商品に育ちました。

 

近年まで白元は保冷枕のシェア50%以上で、
年間100万個を販売していましたが、
今年5月に民事再生法の適用を申請し、
経営破綻しました。

ハーバードでMBAをとった3代目が、
最後の世襲経営者となりました。
老舗企業が潰れるのは、3代目。
とよく言われますが、
白元は、時代の変化に適応するスピードが
追いつかなかったのでしょう。

白元は今月9月1日アース製薬の100%子会社
となり、白元アースとして生まれ変わりました。