エレキテルの平賀源内は、
コピーライターのはしりとも言われています。

江戸の鰻屋が、夏に鰻を売る算段を源内に
相談したところ、「本日土用の丑」と書いた
張り紙を貼ることを勧められた。
やってみたら大当たり。
それを江戸中の鰻屋が真似して、
土用丑の鰻が定着したという説は有名です。

これは、
丑の日に「う」がつくものを食べると、
夏負けしない
という当時の風習を活用した
優れたコピーライティングです。

鰻重

ところで、「土用の丑の日」とは、
そもそもなんなのかご存じですか?

暦は時代によって変遷し、
現代においても様々な暦が使われています。
毎年干支が変わることはよく知られています。
同じように毎日干支も変わるのです。
十二支ありますから12日に一回、
「丑」の日がやってくることになります。

「土用」はもう少し複雑です。
中国を発祥とする五行思想においては、
万物は木火土金水の5つの波動に分けられる
とあります。
一年、春夏秋冬も五行に分けられ、
春=木、夏=火、秋=金、冬=水
ですが、「土」だけが各季節に
分割されます。
各季節の最後の約18日間ほどが、
「土」に割り当てられます。
この期間を「土用」と呼ぶのです。

最近仕事で暦に関わっていて、
このあたりのことは少し詳しくなりました。

 

鰻を食べる土用の日は、
夏に設定されていますが、
本当は土用期間は年に4回ある
ということになります。

これを逆手にとって、
鰻の産地、長野県の岡谷(諏訪湖に隣接)では、
冬に「寒の土用の丑の日」を設定し、
冬にも鰻を拡販するキャンペーンを
1998年から始めました。
鰻は脂が乗って一番うまいのは、実は冬。
夏は痩せておいしくない季節。
だからこそ平賀源内の時代は、
夏に鰻が売れなかったわけです。

それが今や逆転して、
鰻は夏の風物詩。
コピーライトの威力の
すざましさを感じます。

 

そうはいっても、
本物の鰻はなかなか口に入らない
高価なものになりました。
松茸みたいなポジションになりつつ
あります。
寂しい限りです。