宝くじは、胴元にしてみれば、やればやるほど必ず儲かる仕組みです。みずほ銀行のデータによると、2008年の宝くじの売上は、1兆419億円。当選金は、4758億円でしたから、

宝くじ実効還元率=45.7%

でした。この還元率の数字が他のギャンブルに比べて低いとして、「宝くじを買うよりギャンブルのほうが率がいい!」みたいなことを言っている人がたくさんいます。

言葉としては間違ってはいないのですが、結局いくら手元にお金が残りそうかということを考えたほうがいいでしょう。

たとえば、1年間で10万円宝くじを買えば、期待値としては5万円弱手元に残る計算になります。実際にはほとんどの人には1万円程度が戻ってきて、ごく稀に大当たりする人がいるような状況です。この感覚がわかりにくければ、1兆円分の宝くじを買い占めたと考えればいいでしょう。1年間でちょうど4570億円が戻ってきます。

では、還元率の高いカジノやオンラインカジノではどうでしょう?

たとえばルーレットであれば、還元率は約95%という数字をよく見かけます。これは、36個ある数字以外に、0と00という数字があるので、単純に赤黒だけ賭けていっても、36/38≒94.5%という計算からも妥当な数字です。

還元率95%だと、宝くじのように10万円握りしめてルーレットに賭ければ、9万5千円くらいが手元に残るのでしょうか?

ルーレット

わかりやすいように赤黒だけに賭け続けるときのことを考えてみます。一回に1万円づつ賭けるとします。2回に1回は当たりますから、買ったり負けたりを繰り返し、そんなに手元のお金が減ることはありません。ただし38回に2回は0か00に入りますから、そのときは確実に減ります。すると190回やれば、10回0か00に入る計算ですから、10万円がなくなります。

還元率が95%なのに、たった190回でどうして10万円がなくなってしまうのでしょうか?

それは10万円握りしめているので、10万円が元手だと思いこんでいますが、実は総投資額は1万円x190=190万円なのです。ですから手元に残るのは190万x95%=180万5千円で、190回で9万5千円目減りするという計算になります。10万x95%=9万5千円が手元に残るわけではありません。

ルーレットは楽しいので、2、3時間座っていれば190回くらいはあっというまです。回数が増えれば、手元に残る期待値もどんどん減っていきます。パチンコやスロットで何百回もじゃらじゃらやり続ければどうなるかは自明です。ましてやオンラインカジノでは、いつの間にか回数が増えてしまいます。

還元率という言葉や数字に騙されてはいけません。