西武池袋の地下洋菓子売場。
競合ひしめく激戦地帯。
色とりどりの洋菓子がディスプレイを競っています。
そんな中でひと味違った見せ方を見つけました。

平飼いたまごのプリン

軽井沢のFOUNDRY(ファウンドリー)という洋菓子店のプリンケースです。

上段に商品のプリンをいっぱいに並べ、
下段には「”平飼いたまご”のカスタードプリン」のプレートとたまごと藁のディスプレイ。

他店の冷蔵ケースは、どこも上下段とも商品をいっぱいいっぱいに並べていますが、ここは下段すべてを”平飼いたまご”のイメージディスプレイに使っています。

ここのプリンは、カラメルを自分で注入して食べるというちょっと変わったプリンなのですが、そんなギミックを強調することなく、素材へのこだわりをこのディスプレイで表現しています。

「平飼いたまご」とそうでないたまごで、プリンの味がどれほど変わるのか、正直わかりません。でもこのディスプレイを見ただけで、おいしいプリンを味わった時のたまごの香りや舌触りが思い浮かびます。

「平飼い」の表現にこれだけのスペースを使うという発想は、顧客の真のベネフィットをよく理解して、どこに力を入れるべきかをよく考えて商品化している姿勢を感じます。カラメルを自分で注入するアイデアも、そうした中から議論を重ねて生まれてきたこだわりの機能なのでしょう。

上段には、本和香糖の紹介パネル、価格札の横にカラメルギミックのプリンサンプル、下段右には牛乳瓶が配置されています。それぞれのアピールポイントの面積比に着目してください。

アピールしたいことがたくさんあるとき、あれもこれも同じ比率(面積)で伝えようとすると、なにも伝わらなくてすべてが台無しになります。一番言いたいことを8割。あとの2割を優先順位をつけながら適切に配置する。そのような気配りが人の心を動かします。


FOUNDRY(ファウンドリー)は以下の百貨店に入っています。

西武池袋
そごう横浜
阪急うめだ
あべのハルカス近鉄