フィードバックのはなし

前回は、自転車のハンドル操作が、
フィードバックループで安定するおはなしでした。

 

みなさんが使っているスマホの充電器が、
この自転車の操縦と同じ仕組みの
フィードバックループで
成り立っているのはご存知ですか?

コンセントにブスっと挿して、
スマホを充電する黒い物体、充電器。
これは交流100Vを直流5Vに
変換する変換器です。
ACアダプターなんて呼びますよね。

充電器

 

5Vを安定的に出力できないと、
スマホの充電回路や電気回路に悪影響を
及ぼします。
刻一刻と変化する電力の使用状況に応じて、
つねに同じ5Vを出力するのは、
結構やっかいなことなのです。

アンドロイドの端末は最近、充電器が
付属されていませんよね。つまり充電器は、
相手がどんな相手でも、同じ5Vを
安定的に出力できなければなりません。

 

そこで昔からこの手の電源変換回路には、
フィードバック回路が組み込まれています。
出力電圧をつねに入力段に戻すような回路です。
出力電圧と5Vとの差分を反転させて、
少し小さくして入力段に戻します。
すると、出力が大きすぎれば、
入力が少し小さくなりますから、
出力も少し小さくなります。
その差分をまた入力に戻すことを
繰り返すと、出力が安定します。
出力の状況が変化したときでも、
すぐに5Vを安定的に出力できる、
シンプルですばらしい自動制御回路です。

 

顧客からのクレームは、まさにネガティブな
フィードバックです。その情報を、
上手に反転してプラスに変えて、
企画、開発、設計に戻してあげるのです。

クレームをそのまま戻しても、戻しすぎです。
現場が右往左往します。
クレームを放置すると、安定した出荷が
できません。
では、クレームを逆ギレで返すと
どうなるでしょうか?

回路は発振します。
つまりクレームがどんどん大きな騒ぎになり、
炎上します。

 

経営のシステムには、
顧客からのフィードバックを、
うまく処理する仕組みが必要不可欠です。