自転車で一番触りたくないところ、
チェーン。

油で真っ黒、注油せずに雨ざらしにすると、
サビてキシキシいいはじめます。

私は小学生のときから自転車好きでしたから、
ときどきチェーンをタオルで磨いたり
していましたが、
それを見た友人は、私を変態と思って見ていました。

 

そんな変態しか触らないチェーンを、
ゴムのベルトにして、
一切油を挿さなくてもよくしたのが、
ブリジストンの通学自転車アルベルトに
採用されている、ベルトドライブという方式です。

ブリジストンがベルトドライブの開発に
着手したのが、1980年。
独自の駆動方式、
ゴムのベルトでも決して空回りしない、
フローティング自動張力調節機構を発明。
1984年ベルレックスという名前で、
量産を開始しました。

私がはじめてベルトドライブの自転車に
乗ったのも、ベルレックスでした。
一旦走りだすと、
ペダルの力が後輪に伝わる感覚が、
チェーンよりもダイレクトでムダがなく
新鮮でした。

そしてアルミフレームでベルトドライブの、
アルベルトが2000年から発売。
通学用自転車のベストセラーになりました。
そしてモデルチェンジを繰り返しながら、
現在でも一定のポジションを確保し続けています。

 

35年前に開発された技術が今だに
使われている。という見方もできますし、
チェーンに置き換わるイノベーションに
つながらなかった。という見方もできます。

 

ブリジストンはベルトドライブの技術を、
現在でも改良し続けています。
2010年からはベルトの心線に
カーボンを採用して、
スポーツタイプの自転車を販売。

HELMZs
出典:ブリジストン HELMZ

本格的なロードバイクが、ベルトドライブに
なっていくとは到底思えませんが、
ここから内装8段ギアの技術が生まれました。

ここで培った技術が、やがて
通学用自転車に応用されていくことに
なるでしょう。

そうやって技術は、新たな市場によって、
少しづつ進化するものなのです。