今日、2月9日はふぐの日らしい。
むしろ肉の日ではないか?
と思って検索したら、
肉の日は、毎月29日だそうです。

なるほど、そのほうが毎月集客イベントが組めますね。

かといって、ふぐの日を毎月29日というわけにもいかないところが、肉とふぐの市場のポジションの差なのでしょう。

 

ふぐはその猛毒のせいで、調理には取扱資格が各都道府県で定められています。ふぐの種類によって毒のある部位は異なるものの、肝臓と卵巣は特に危険な部位とされています。食品衛生法ではふぐの卵巣の食用が明確に禁止されています。

 

その危険な卵巣を石川県ではぬか漬けにして、珍味として販売しているのですから驚きです。

たとえば、こんな直販サイト。

ふぐの子糠漬<加賀能登伝統の珍味>いしかわや

ふぐの子ぬか漬け
出典:いしかわや

 

1年以上かけてぶぐの卵巣を塩漬けしたあと、米麹、イワシの魚醤とともにぬか漬けにします。さらに半年から1年たつと、フグ毒=テトロドトキシンの含有量が劇的に減少して、毒性がほぼなくなるというのです。

この除毒化技術は、石川県美川、金沢市金石、大野に古くから伝わり、いつ誰が始めたのかはわかっていません。

また、除毒の原理は塩析希釈説、酵素発酵分解説など様々研究されましたが、決定的な要因はいまだに見つかっていません。

 

つまり科学的な除毒の根拠はいまだにないのです。

にもかかわらず、美川、金石、大野だけで、この製法による卵巣の糠漬けの製造が認可されています。科学が立ち入ることが出来る領域は、出荷前の毒性検査。この検査により安全性を確保しています。

 

やってみて、できたらええやん

これが技術の発想です。

科学の蓄積で新しい技術が開発されることもありますが、こうして技術が先行して科学があとから追いかけるということが、歴史上ごく普通に行われてきました。まだまだこの宇宙はわからないことだらけです。科学で説明できないことは、ほとんどがまやかしですが、たまに偽ではないこともあるのが、この世の奥深さと楽しさだと私は思います。