ガラス戸越しに探す、これから短い時間を一緒に過ごす恋人。ガラス戸を右から左へそっと開けて、一番上ではなく、少し奥から取り出す。そしてガラス戸を左から右へきっちりと閉めて、急いでお金を払う。

昭和のアイスケースは、引き戸になっていました。主力は棒付きアイスで、平成になってからも50円くらいがほとんど。たくさんある中からソーダ系にするか、チョコ系にするか、果汁系にするか、迷ったものでした。

今、コンビニのアイスケースは、引き戸もなにもない、オープンでフラットなタイプになりました。昭和生まれとしては電気代が気になりますが、とても選びやすい。そして値段をわかりにくくしています。これは作戦です。コンビニは選択に時間をかけるような雰囲気のお店ではありません。さーっと立ち寄って、さーっと買って帰る。棒付きアイスが食べたければ、数ある棒付きアイスの中から、どれかひとつを選んでレジに持っていくだけ。選ぶときに、高級感と値段のトレードオフを考えて、コストパフォーマンスのよいものを選ぶ。という余裕を与えないような、商品と値札のディスプレイがされています。

そうして徐々に、コンビニアイスの単価が上がってきたように感じます。いまや60円の棒付きアイスは、ほんの一握り。手にとる棒付きアイスがほとんど100円以上するようになりました。

ガリガリ君の商売がうまいところは、60円の「ガリガリ君」と120円の「ガリガリ君リッチ」のパッケージを、あえて差異を大きくつけていないところです。値段を見て、「どっちにしようかな?」という選択ではなく、「今日はこっちを食べてみよう」という選択の仕方なのです。ですから、つねにガリガリ君とガリガリ君リッチを混在させ、飽きさせないように新しいフレーバーを季節ごとに投入していけば、お客さんに値段にかかわらず手にとってもらえるのです。

ガリガリ君アイスコーヒー

ガリガリ君アイスコーヒー


ここのところ、ガリガリ君はリッチシリーズで話題をつくってきました。そしてゴールデンウィークの目玉として登場したのが、ガリガリ君アイスコーヒー60円(税抜)です。コンビニコーヒーブームに見事に乗っかってきた本命です。これによって、ガリガリ君リッチもさらに売れることになるでしょう。