有機野菜は高いです。
高くても納得の上で買う人はたくさんいます。
ただし有機だからといって無農薬ではありません。
無農薬で野菜をつくるのは、想像以上に手間がかかり、
とてもたいへんなことです。

「食の安全」という価値に対して、
正当な対価を支払おうと思う消費者は
少なくありません。

「無菌・無農薬レタス」
普通のレタスより値段が1.5倍

どうでしょう。
スーパーに並んでいたら、
1割くらいの人は手にとって一度は試してみるのでは
ないでしょうか。

無菌・無農薬レタスはどこで作られるのでしょうか?

 

答えは、富士通の工場です。

そう聞いた途端、スーパーのかごから、
買いかけたレタスを棚に戻すかもしれませんね。

ドクターベジタブル

という会社があります。

富士通の半導体を製造していたクリーンルームを
植物工場に改装して、水耕栽培のレタスを
生産しています。

レタス
出典:ドクターベジタブル

ターゲットを腎臓病患者に絞り、
野菜に機能性を持たせるメリットを活かして、
低カリウムを売りにしています。

ターゲットの絞り方や、既存市場を脅かさない
新規市場創造のコンセプトなど、
紳士的なすばらしい取組だと思います。

ただ、報道なども含めてなのですが、
「植物工場」という表現が前面に出ていて、
野菜のイメージに対して違和感を感じます。

 

たとえばドクターベジタブルの、
サイトのトップのスライドショーには、
こんな言葉があります。

量産化
高品質
特許取得

どれも、富士通のような製造メーカーが
好んで使う言葉です。

 

ビニールハウスだって言ってみれば小さな工場です。
でも工場で生産された野菜だなんて、
誰もわざわざ言いません。
工場というと、どこか油のニオイがするものです。
「植物工場」というサイバーな発想から脱却して、
「無菌・無農薬野菜」という消費者に寄り添った
言葉を前面に出してみてはどうでしょうか?

たぶん販売の現場では、とっくにそういう発想に
なっていると思いますが。