吉野家の株主歴が長いので、
どうしても競合の動きには敏感になります。

すき家はすでに売上で吉野家を凌駕して、
牛丼チェーン業界のリーダーです。
一時期、味もかなりおいしくなり、
吉野家の存在感が薄れていました。
しかし吉野家の4月からの味の改善で、
「やっぱり牛丼は吉野家」
吉野家が牛丼の味では不動の4番バッターです。

さらに、冬の吉野家の牛すき鍋膳攻撃が、
競合に予想以上のパンチとなって響きました。
すき家は、急遽あと追いで展開した
すき鍋メニューによって、
店員の負担激増となり、
ブラック企業とまで言われ、
バイトを確保できずに、
店舗の大量閉店にまで発展しました。

松屋は昔から牛めしの味に関しては、
吉野家、すき家の後塵を拝していました。
みそ汁が無料でついてくるのが、
取り柄でしたが、そのみそ汁の味も、
中途半端でした。
基本は定食屋チェーン、牛めしは、
いちアイテムでしかないので、
それで住み分けができていました。

しかし、牛めし一杯290円では、
儲からないと判断した松屋は、
8月から大勝負に出ました。
牛めしを「プレミアム牛めし」と
改名して、380円にしたのです。
「いよいよ脱デフレ」とも言われ、
話題になっています。

松屋プレミアム牛めし
出典:松屋 プレミアム牛めし

8月に入ってから、松屋の店舗を
いくつか見ましたが、
どこも「がらがら」です。
やばいです。

3割値上げしたプレミアムを、
確認するために実食してみました。
「吉野家に近づいた」との噂が
ありましたが、吉野家の足元にも
及びません。確かに、以前の松屋に
比べて、3割アップの味にはなって
いそうです。

当社比3割アップ!

家電でよく使われるフレーズですね。
消費者は冷静です。
いくら当社比がアップしても、
競合と比べてどうなのか、
チェックを怠りません。
当社基準でいえば、3割アップは
十分プレミアムかもしれませんが、
お客さん目線の基準からすれば、
380円程度で、「プレミアム」
というのは、無理があります。
100円ショップに置いてあるような
黒胡麻焙煎七味にも、
代わり映えのしないみそ汁にも、
決してごまかされません。

「プレミアム」というのは、
モスバーガーがやった1000円バーガー
くらいのものを言うのです。

すき家、松屋が自滅する中、
これまで我慢に我慢を重ねてきた
吉野家が、いよいよ利益を伸ばす
ときがきたようです。