これまでのあらすじ

ソニーは必ず復活する、ソニーエンジニア有志たちの快挙

江戸っ子1号にソニーエンジニア有志として参加した
ソニー社員たち。大企業の壁を打ち破り、ソニービルで
正式にそのプロジェクトが公開される運びとなった。
自由闊達な文化を失わなければソニーはきっと復活するだろう。

 

江戸っ子1号のキーパーツ、ガラス球を開発した岡本硝子が協力する理由とは?

この江戸っ子1号のプロジェクトに、
会社としてキーパーツのガラス球を開発、提供した
会社が岡本硝子。
岡本硝子には、市場規模が見えなくても、
やる理由があった。
それは岡本硝子の歴史に関係がある。

 

7回の飛躍、市場転換を続ける中小企業のスター、岡本硝子の秘密

1928年の創業以来、
およそ10年ごとに市場転換を7回も
繰り返し、危機を乗り越え、成長をしてきた岡本硝子。
これは決して偶然ではない。

 

世界シェア72%の岡本硝子の歯科治療用デンタルミラーとは何か?

歯科治療用デンタルミラーで圧倒的な世界シェアをもつ、
ニッチトップの中小企業岡本硝子。
薄膜多層コーティング技術により、
断熱機能をもった反射鏡を開発し、
熱くないデンタルライトの実現に大きく貢献している。
その開発ストーリーに、ソニー復活のヒントがある。

 

岡本硝子のデンタルミラー、3つの優れた機能

岡本硝子のデンタルミラーには、
1.断熱機能
2.無影灯機能
3.自然光再現機能
の3つの機能がある。

岡本硝子はなぜ、このような高度な技術を身に着け、
デンタルミラーを開発できたのか。
そこに企業が飛躍するための経営の論理がある。

 

■岡本硝子の市場転換

戦前:工芸ガラス
1940年代:船舶、鉄道用信号灯
1950年代:水銀灯カバーガラス
1960年代:電子レンジ用ガラス
1970年代:ヘッドランプレンズ
1980年代:照明用反射板とデンタルミラー
1990年代:プロジェクター用反射板
1996年ごろ:光源反射鏡

 

岡本硝子の1970年代の主力商品は、
車のヘッドランプレンズ
でした。

ヘッドランプ

 

1960年代後半に到来したマイカーブーム。
岡本硝子が開発に成功した、
要求通りの配光を実現するヘッドランプレンズは、
最盛期に月産20万個を超え、
岡本硝子の売上の6割を占めるにいたりました。

しかし1973年にはじまったオイルショックにより、
受注は激減しました。
高度成長のカーブも鈍化。
人件費も世界のトップ水準になりました。

 

これまでどおりの市場向けのガラス製造だけでは、
コスト面で戦えなくなる兆しが見えてきました。
あたらしい市場を模索する中で、
デパートのディスプレイ照明に使う反射鏡の生産を、
細々とスタートしました。

そんな中、取引先の商品ディスプレイの照明器具メーカーから、
岡本硝子に、「こんなことできないか?」と
要望がありました。

 

つづく