以前、ご紹介した小諸そば、
破壊的イノベーションというと、ちょっと大げさなんですが、私個人の「もりそば」市場を確実に破壊しています。
初めて入ったときは、もりそば230円のクオリティーの高さに感動して、次回は3人前690円でも安い!と叫んでいました。が、これがとんでもない勘違い。
現在は消費税8%になったので、もりそば一人前税込み240円。そして、二人前はなんとプラスたった60円の300円なのです。
ちょっといいお蕎麦屋さんに行くと、確かにうまいんですが、どうしても量が足りないんです。どんなにおいしくても量が足りないと満足感は得られません。そこではじめから大盛りを頼むことになるのですが、これが金額的にバカにならない。たとえば、もりそば800円で大盛りがプラス300円だと、2枚頼むよりは安いのですが、1100円で1.5倍くらいの量。ただのもりそばに1000円以上というのが、なんとも中途半端。かつ量もちょうどいいといえばちょうどいいんですが、大盛りの贅沢感はありません。
そこへいくと小諸そばは、300円で2人前です。しっかり冷えたそば。取り放題のネギとワサビ。出汁も冷えていて、香り高くかなりうまい。
1000円カットのQBハウスとイメージが重なります。
「これでいいんじゃない」
この感覚を多くの買い手に思わせるのが、破壊的イノベーションです。
「うまいそば」はこうあるべき。という職人的常識に囚われていてはイノベーションは起こせません。一度、「うまい」を分解して考えることが必要です。お客さんにはいろいろな人がいます。お客さんをいろいろな視点でカテゴリー分けします。=セグメンテーション。各セグメントの人にとっての「うまい」をそれぞれじっくりシミュレーションします。テストマーケティングをしてもいいでしょう。
するとあるお客さんたちにとって、「うまい」の優先順位が、自分の優先順位と異なっていることに気付くはずです。これはどんな業界でも当てはまります。「そばは、そば畑からきっちり管理して、最上の香りと喉越しは譲れない。」と思っていたものが、「とにかくたっぷり食べたい。ある程度のクオリティーは譲れないが。」というお客さんが多かったりするのです。そのお客さんを満足させるために、そばを提供するあらゆる工程を見直してみると、今までと違った視点を持つことができます。それがイノベーションのきっかけになります。
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