海のものを「生」でいただく醍醐味その4、さざえ

で、漁師のお父ちゃんが20m潜水をして、
一発でもりで突いてきた石鯛。

一部は刺身になりました。
そして、残りの身と頭と骨は、
対馬の郷土料理「いりやき」になりました。

岩場

といっても、そのときは郷土料理とも知らず、
作り方を教えてと言ったら、

「こんなもの、つくりかたもなんもないよ。
ただ塩して、お湯で煮るだけ」

と言われました。
実際作り方を見てみると、

ごくありきたりのアルミの鍋にお湯を張って、
沸いたところに、
軽く塩を振った石鯛のぶつぎりを、
ぶち込み、しばらく火にかける。

ただ、これだけ。

さすが漁師の料理は、大胆だなあ。
さぞかし味も大味なんだろうな。

と思っていました。
食べてみて、びっくりです。

 

こんなうまい魚は食べたことない!
なぜか香ばしい。
魚が香ばしいなんて、初体験でした。
身は柔らかく、どこまでも味は繊細で深い。
ほんとに、塩だけですか?
と聞き返したほどです。

この味は魚がただ新鮮だ。というだけでは、
出せない味です。
それ以来、これに匹敵する魚の煮たものを
食べたことがありません。

しいていえば、葉山の魚佐、ねぎま汁が、
近かったのですが、今はもうメニューにはありません。

 

対馬 いりやき

で検索すると、様々な作り方が書かれています。
鍋の一種、とも書かれていますが、
私が食べたものとは異なります。
結局、

各家庭で作り方は異なる。

と書かれているので、きちんとした作り方は
わからず仕舞い。

 

と、今日、こんな記事を見つけました。

「湯煮」ってナニ?/魚の理想的な調理法
日刊水産経済新聞

ここに、北海道などの伝統調理法として、
湯煮というものが紹介されており、
これだっ!とようやく作り方がわかりました。

 

お湯に酒を少量入れて、軽く塩をした魚をぶち込む。

 

ただそれだけなのです。

しかしこの調理方法には、きちんとした
おいしさのわけがありました。

 

酒は、塩で吸い出した魚の臭みを分解するために、
入れるそうです。
対馬の石鯛は、新鮮だったので、酒は必要なかったのです。

軽く振った塩が、魚の表面のタンパク質を凝固させて、
魚のうま味を閉じ込める働きをしているようです。

この働きを活かすには、
決して沸騰させない
ということが、鉄則とのこと。

沸騰させると、魚の細胞からうま味が全部出てしまう。
汁はうまくなるけど、魚はだしがらになっていく
わけですね。

どうりで鍋の出汁がどんどんうまくなるわけですね。

 

湯煮は、沸騰させずに、3~5分で、
魚を取り出すのがミソ。
新鮮な魚が手に入ったら、
是非やってみたいですね。