日本でゴム印が使われるようになったのは、明治時代の中頃。その頃のスタンプ台は欧米からの輸入品で、すぐに蒸発する水性インキを、そのつど染み込ませて使っていました。

それを空気中の水分を吸収する性質を持つグリセリンを使って、インキの補充なしに何回でも使えるようにしたのは、ご存知シャチハタ、日本の発明です。大正14年創業です。

 

おもしろいことに、創業者が発明したスタンプを、2代目は否定するような革命を起こしました。それがXスタンパーと呼ばれるすスタンプ台の要らないスタンプ。今シャチハタというと、ポンポン押せる印鑑のことですが、その原型です。多孔質のゴムを新たに開発し、容器の中では固まらず、印字するとすぐに乾燥するインキを開発しました。

シャチハタネームが発売されたのが、1968年。発売当初はクレームの嵐で回収騒ぎに。だんだんとインキが薄くなる。という欠陥を、ゴムとインキの改良に取り組んで解決。大阪万博の出展をきっかけに、全国に知られるようになりました。

これまでに1億5千万本以上を出荷。国内でシャチハタを知らない人はいません。

シャチハタ
出典:シャチハタ スタンディングネーム

さらにXスタンパーが要らなくなるような商品、電子印鑑システムにいち早く取り組み、法人契約1万社以上、個人ユーザー20万以上の実績を上げ、市場拡大しています。

 

シャチハタネームの開発には10年以上かかっています。電子印鑑システムもすでに15年以上改良し続けています。顧客の不便を考えて、自分たちの現在の飯の種さえも否定する商品開発に取り組む。この姿勢がシャチハタを支えています。