4月から牛丼並盛税込み300円の吉野家。

創業時の日本橋・築地時代は、
うまい 早い
がキャッチフレーズでした。
1970年代の全国チェーン店化で、
早い うまい 安い」になりました。
やがて、「うまい」と「安い」を失い、
倒産。
1980年代からは再起をかけて、
うまい 早い 安い」となりました。
2000年代は、ライバルの台頭に、
うまい やすい はやい」に変えました。
そしてご存知のとおりの価格競争に突入。

 

蕎麦屋で丼を食べれば、700円する時代に、たった300円で「うまい」牛丼が食べられるのですから、十分「安い」と思うのですが、吉野家はライバルとの価格競争に、一区切りつけました。

現在、吉野家のホームページを見ると、
http://www.yoshinoya.com/

キャッチフレーズは、

牛丼はどこまでうまくなれるのか
牛丼は
どこまでうまく
なれるのか。

ついに、「うまい」に舵を切りました。BSE事件以来のメニューの増加で、もはや「はやい」を失った吉野家。牛すき鍋膳が決定打になりました。相当な準備をして、牛すき鍋膳を成功させました。あわてて追随したすき屋は、オペレーションの改善に苦労しています。

1980年の倒産は、「早い」だけが残った結果だったのですから、今回の、「はやい」を切って、「うまい」に絞ったキャッチフレーズは、過去の教訓を活かした進化だといえます。

 

吉野家にはもっと「うまい」を追求してほしい。「うまい」を追求し続ければ、それはやがて、「はやい」と「やすい」に還っていくに違いないのです。新しい競争の土俵の中で、はじめから「うまい やすい はやい」をすべて目指すのではなく、まず「うまい」を徹底的に追求する。その中から、「うまいのためのはやい」と「うまいのためのやすい」新たな技術が生まれるはずだからです。

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