パスタ。

今となっては言い慣れた言い方ですが、
子供の頃は、スパゲッティーでした。

「ゲ」と「テ」の間に「ッ」が入り、
最後は「ティー」と伸ばしたものでした。

そしてスパゲッティーは、100%ケチャップ味
たまにお弁当にアルミホイルのおかず入れに登場。
同じ味のものがクリスマスになると、お皿に盛られ、
ごちそうに早変わり。

太さは1.8~1.9mmの太め。ディチェコでいうNo.12。
茹で具合は、しっかりと柔らかめ。
アルデンテなんていう洒落た言葉は知る由もない時代でした。

 

その頃から国内スパゲティシェアNo.1ブランドは、
日清フーズのマ・マースパゲティ。

ママースパゲティ
出典:マ・マースパゲティ

本格的な生産は1956年から始まりました。
が、馴染みのまったくないスパゲティがそう簡単に
普及するわけもありません。

最初に日清が取り組んだのが、ケチャップを使った
メニュー開発でした。イメージは「お洒落で美味しい。」
全国各地で講習会を開き大人気になりました。
おそらく、私の母はそんな講習会に参加して、
クリスマスのお洒落で美味しいごちそうが、
ケチャップ味のスパティッティーになったのでしょう。

 

そして銀座にソニービルがオープンした1966年。
同じ年に有楽町日劇の向かいに
直営レストラン「サンレモ」をオープンさせました。
流行の最先端を発信する店舗に、
お洒落に敏感な若い女性が集まり、
口コミの拠点になりました。
この直営店舗で、日清はお客さんの反応をしっかり
リサーチしながら、販促方法やメニューの開発を行ったのです。

 

新商品開発と販促の基本は、昭和も今も変わっていないようです。
メーカー直販を口コミ拠点化し、顧客の声をダイレクトに感じる場を設ける。
そのフィードバックをすぐさま、商品改善と販促に活かす。
そのツールが今となってはネットになったということなのです。

 

私は今ではパスタはディチェコを愛用していますが、
たまに老舗の洋食屋で食べるケチャップ味のスパゲッティーも、
なかなか捨てがたいですね。