シートベルトの巻取りに今でも必須の部品。
ゼンマイばね。

ゼンマイ仕掛けのオルゴールは、
くりくりくりっとゼンマイを巻くと、
しばらく音が鳴り続けます。

オルゴール

よく考えると不思議なことが
起きていて、
ゼンマイを巻く力を与えた時間と、
オルゴールのドラムを回転させる力を出す時間が、
シフトしています。
つまりタイムシフトマシンです。

これはゼンマイばねが、
エネルギーを貯めることを表しています。
エネルギーを貯めるといえば、
今でいえばリチウムイオン電池ですね。

 

こういったエネルギーを貯めこむものは、
力を平準化できるという点でたいへん便利です。

オルゴールを人力で一定の速度で鳴らそうと
すると、相当気をつかってオルゴールを
回さないときれいな音楽になりません。
ゼンマイばねなら、瞬間的な力を何回か
加えれば、その総エネルギーが
ゼンマイばねに貯まります。
その貯めたエネルギーを少しづつ開放
させることで、一定の速度でオルゴールを
回転させることができます。

また、リチウムイオン電池は、
小さな電力で少しづつ充電すると、
大きな電力を必要とするモーターを、
一気に回すことができます。

 

この平準化できる性質を応用して、
ゼンマイ式水力発電機
を発明した人がいます。

田んぼのわきを流れる小さな水路は、
流れる水の量は少なく、不安定です。
その弱い水流の力で、2種類のゼンマイを
途切れなく巻く構造になっています。
片方を巻いている間に、
片方がエネルギーを放出し、
常に50W/hで発電し続けることができます。

 

リチウムイオン電池はとても高価ですが、
もしかしたら超ローテクのゼンマイばねで、
下水の落下エネルギーをちょろちょろ貯めて、
家庭で使える日がくるかもしれません。