世界最大の失敗と呼ばれている
コカコーラの失敗マーケティング事例があります。
カンザス計画として有名な事例です。

コカコーラはこの失敗により、
短期的に大幅な損失を出しましたが、
その失敗は世界的に知られることになり、
かえって宣伝効果があったとも言われています。

今でいう炎上マーケティングですね。
もちろん意図して炎上したわけではなく、
完全なる大失敗だったのですが。

 

1985年4月、コカコーラは、
「一番美味しい清涼飲料コカコーラが、
もっと美味しくなりました」
とニューコークを発表しました。

綿密にブラインドテストを行って、
これまでよりも美味しい味に
仕上がっていました。
ところが発表直後から抗議の電話が
殺到し、ニューコークは全く売れず。
ついにペプシに売上を抜かれ、
たった3ヶ月後には、
元の味をクラシックコークとして
売り出すことになりました。

コーラ

抗議の内容は概ね、
「私の青春の味を返せ!」
つまり、長年慣れ親しんできたコーク
そのものが好きなのであって、
ペプシとどちらが美味しいか、
という尺度ではなかったわけです。

公開ブラインドテストによる
味の比較キャンペーンを仕掛けたのは、
ペプシです。コークはその計略に、
まんまと乗っかってしまいました。

自社の商品がなぜ選ばれているか。
思い込みは危険です。
競合が考える尺度と同じとは限りません。

 

牛丼の吉野家は4月に消費税アップの
タイミングで味の改善を発表しました。
吉野家がコーラのように抗議が殺到しなかったのは、
コーラほど日常的なものではなく、
コーラほど圧倒的なブランドでもないからです。
「味」で勝負しているフィールドなのです。

そして松屋は先日、7月22日から
味の改善と大幅値上げに踏み切りました。
「プレミアム牛めし」と名付けられた
松屋の新しい牛丼は、吉野家の味に
近づいたと言われています。
90円値上げしたプレミアムが、
吉野家と同等。
かえって吉野家のお得感を、
際立たせることになったかも
しれません。