自転車のパンク修理が得意でした。子供の頃、近所の自転車屋さんに行っては、パンク修理を眺めるのが好きでした。「最近空気の減りが早いんですが、、、」こんな場合まず疑うのは、空気を入れるバルブの「虫ゴム」の劣化。ここが固くなったり破れたりすると、少しづつ空気が抜けるのです。そこが問題なければ、タイヤになにか細いものが刺さっていないかチェックします。それでもわからなければ、いよいよバケツと水の登場です。

タイヤのチューブを引っ張りだして、適度の空気を入れてバケツの水に一部分を沈めます。沈める場所を変えていき、チューブから空気が漏れている場所を探します。小さな穴からプクプクプクと気泡が出るのですぐにわかります。この程度の小さな穴であれば、パッチを貼り付けてパンク修理すれば、長持ちします。

 

1960年代まで、車のエンジンブロックの気密性を検査するのは、この自転車のパンク修理と同じ方法で行われていました。空気を封入して水没させ、気泡を観察。なんとも原始的。乾燥させるのも手間でした。

これを解決したのが、八王子のコスモ計器のエアリークテスター。空気を封入したときに、わずかな空気圧の変化も見逃さないセンサーを開発して計測器を1970年に完成させました。以来トップシェアを維持し、国内シェア6割を誇ります。

エアリークテスターは自動車メーカーが顧客のメインですが、ガス機器や電子機器の気密性検査にも活用されています。たとえば、防水携帯電話の検査にも使われています。

 

この検査を行うには、密閉方法にかなりのノウハウが必要です。テスターを買えばすぐに使えるものではありません。コスモ計器は社員の6割がサービスマンで、検査のためのノウハウを現場で徹底してサポートする体制をとっています。

作業員

これは単なるノウハウ提供ではなく、優れたフィードバックシステムになっています。顧客の現場に同席することで、その商品の特性や製造方法に合った検査方法のノウハウが、コスモ計器に蓄積されます。それが別の顧客の現場に応用され、さらに新たな業種の顧客が現れた時に、数多くのノウハウが活かされます。そうやってフィードバックシステムによって、市場拡大が自然に行えるようになっています。それがさらにコスモ計器の信頼につながっています。

「課題は現場にあり」

直販ならではのフィードバックシステムの効用です。