ソチオリンピック、フィギュアスケートショートプログラムで、
16位だった浅田真央選手について、
直後の20日の講演で、

「あの子、大事なときには必ず転ぶ」

というお粗末な発言をした森喜朗東京オリンピック組織委員会会長に、
批判が集まっています。

それに対して、フリーで自己最高得点の演技をし、国境を越えて
多くの人を感動させて帰国した浅田真央選手は、本日25日の会見で、

「私は、今別になんとも思っていないですけど、
たぶん森さんは、ああいう発言をしてしまったことに
ついては、今後悔しているんじゃないかなと少しは思っています」

と語りました。

口には気をつけましょう。自戒をこめて。

スケート

さて、この発言に関しては、
マスゴミが、またもや言葉尻をとらえて、
騒いで、印象操作しているのでは、
ショートプログラムでの転倒の原因は
団体戦に出場させた日本スケート連盟の判断ミスというのが、
森元首相の真意だ。
という意見もあります。

 

そこで、最近高校入試の国語の選択問題に、
かなりの自信を深めている私が、
高校入試で通用する解き方を駆使して、
森元首相の発言を解いてみたらどうなるか。

みなさん、この難問、解けますか?

それでは問題です。

■次の文章を読んで、あとの問いに答えなさい。

[ソチオリンピック、フィギュアスケートのショートプログラムで、
一番最後に登場した浅田真央選手は、転倒し16位になりました。
フリーでがんばってもメダルに届かない順位。
そのことに触れる森元首相の発言]

一番最後に真央ちゃん。なんとか頑張ってくれと思って皆見ておられたんだろうと思いますが、見事にひっくり返っちゃいましたね。あの子、大事なときには必ず転ぶんですよね。なんでなんだろうなと。

僕もソチ行って、開会式の翌日に団体戦がありましてね、あれはね、出なきゃよかったんですよ日本は。(中略)
あともう皆*ダメで、せめて浅田さんが出れば3回転半をすると、3回転半をする女性がいないというので、彼女が出て3回転半をすると、ひょっとすると3位になれるかもしれないという淡い気持ちでね。浅田さんを出した*んですが。また見事にひっくり返っちゃいまして、結局、団体戦も惨敗を喫したという。

その傷が浅田さんに残ってたとしたら、(1)ものすごくかわいそうな話なんですね。団体戦負けるとわかってる、団体戦に何も浅田さんを出して、恥かかせることなかったと思うんですよね。その、転んだということが心にやっぱ残ってますから、今度自分の本番のきのうの夜はですね、昨日というか今朝の明け方は、なんとしても転んじゃいかんという気持ちが強く出てたんだと思いますね。いい回転をされてましたけど、ちょっと勢いが強すぎたでしょうかね。ちょっと転んで手をついてしました。だからそういうふうにちょっと運が悪かったなと思って見ております。

(森喜朗「第262回毎日・世論フォーラム」からの抜粋)

[注] 皆 — アイスダンスを含む団体戦に出場した選手たち
浅田さんを出した — スケート連盟が浅田さんを出した

[問1] (1)ものごくかわいそう、とあるが、なぜ森元首相は、
ものすごくかわいそう。と思ったのか。それを説明したものとして
最も適切なのは、次のうちではどれか。

ア.浅田選手が、日本国民から期待されていたのに、そのプレッシャーを感じて、本番で転んでしまったから。
イ.浅田選手が、運悪く転んでしまい、16位に終わったから。
ウ.浅田選手が、出なくてもよい団体戦に出させられて転んでしまい、恥をかいたことが、本番に影響したと考えたから。
エ.浅田選手が、負けるとわかっている団体戦に出ていなければ転んでいなかったから

 

この問題は難問です。
難関校が出すタイプの問題文です。
本文が何がいいたいのか、よくわからない。

この手の問題を解くには、大事な観点があります。

○言葉の意味を正確に捉え、ごく表面的に選択する
○本文の趣旨に沿った選択肢を選ぶ

つまり、内容に深入りし、発言者が本当にいわんとしていることは、
こうなんじゃないか?と勝手に推測してはいけないのです。

書いてあることを書いてあるがまま捉える。
決して拡大解釈してはいけない。
それらしい選択肢ほどひっかけです。

また、本文に使った言葉をそのまま使っている選択肢は、
かえって怪しいことが多いです。そういう選択肢に限って、
本文の趣旨に大きくはずれていることがあるものです。

 

それでは選択肢をひとつひとつ見ていきましょう。

アは、国民のプレッシャーを感じたとありますが、
そんなことは言っていないので、×。

イは、本文に運が悪かった。とあるので、合致していますが、
森元首相のいいたいこと、趣旨がそこにあるわけではありません。
したがって×。

エ.を選びたくなります。しかしこれがひっかけです。
第1段落の最後に「なんでなんだろうなと」という発言があります。
森元首相が考えるその答えが、最終段落にあります。
「団体戦負けるとわかってる。団体戦に何も浅田さんを出して、
恥かかせることなかったと思う。」とあります。
これはスケート連盟という主語が隠されていて、
スケート連盟が浅田さんを「出して」、「恥をかかせた」
と読み取れます。

つまりこの文章でいいたいこと、趣旨は、
スケート連盟が団体戦に浅田選手を無理やり出して、
恥をかかせたのが、浅田選手にはかわいそうだった。
ということになります。
森元首相は、大事なときには必ず転ぶ。と言っています。
つまり団体戦でも必ず転ぶはずだと思っていたのです。
ですから出場させること自体が、恥をかかせることと
等しいと言っているのです。

エ.は、本番では転ばないはずの浅田選手が、
団体戦に出たせいで転んだ。という意味ですが、
森元首相ははっきりと、「大事なときには必ず転ぶ」
と言っているので、当てはまりません。
ウ.が正解です。

森元首相は、浅田選手は大事なときには必ず転ぶが、
本番で万が一転ばない可能性もあったのに、
団体戦に出させられて、転んでしまったので、
本番で転ばない可能性がなくなった。
といいたいと読み取れます。

なんという手前勝手、独善的、結果論的な
考え方なんでしょう。これではいくら森元首相が、
浅田選手を擁護した発言だ。と言っても、
オリンピック組織委員会会長の資質を問われても仕方ありませんね。