映画「ゼログラビティ」。
宇宙のゴミの恐ろしさが描かれていました。
上空700キロから1000キロには、10cm以上の宇宙ゴミがなんと、2万2千個も散らばっているそうです。これらのゴミはもはや回収不可能。しかしこのままでは、ゼログラビティのようなことが現実に起きることになります。
JAXA(宇宙航空研究開発機構)にはアイデアがありました。宇宙に長さ300mもの導電性の網を張る。そこに宇宙ゴミを引っ掛けて地場を発生させ、宇宙ゴミの速度を徐々に下げて、やがて地球に落下させるというもの。宇宙ゴミは大気圏突入時に燃え尽きるため、ゴミの回収が必要ありません。
JAXAの研究員は、網のメーカーに片っ端から電話をかけて強力を依頼しましたが、金属のひもで網を編めるメーカーがなく、ことごとく断られました。唯一「やってみよう」と言ったのが、広島の日東製網。請け負ってからなんと10年もかけて、0.1mmのアルミ線で網を編む専用機を完成させました。
日東製網は、結び目のない無結節網でシェアトップのメーカーです。切れにくく、折りたたんでもかさばらずに軽いという特徴があります。世界ではじめて無結節網の製造機を発明しました。
まったくの異業種からの厳しい要求。それに答えるために10年かけて蓄積した技術は、他のどの製網メーカーも考えたこともないような課題への挑戦だったでしょう。この技術が、宇宙産業という小さな市場のためだけではなく、別の市場の課題解決と結びついた時、日東製網はさらなる飛躍のチャンスをつかむ可能性があります。
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