直販で避けては通れないこと
それは、
代理店との共存
下請けから脱却し、直販オンリーに転換した勇気ある企業を、
いくつか紹介してきました。
直販のみに徹する、江戸切子の熊倉硝子工芸、飛躍の瞬間【第6回】
一日4万個の卵を直販で売り切る、たまご庵のやり方
直販と内製化にこだわる、太陽精機
しかし、現実には
すでに代理店経由で販売
している状況を断ち切るのは、
かなり厳しい決断です。
代理店の持つ販路は魅力です。
自分が直接販売する手間を、
まさに「代理」してもらっているわけです。
その代理手数料として、マージンを
代理店にお支払するわけです。
しかし、代理店にお願いする段階で、
どうしてもコントロールできないことがあります。
それは、
価格設定
です。代理店がいくらで、商品を販売するかを、
メーカーが強制することはできません。
これが、
独占禁止法
です。独占禁止法では、
小売業者にメーカーが販売価格を指示し、これを守らせること
=再販売価格維持行為
と呼んで、原則禁止しています。
※著作物(書籍、CD)などは、適用外で認められています)
代理店は、安く仕入れてそれより高く販売する。
どれくらい高く販売するかは、自由なのです。
メーカーは、たとえオープン価格だとしても、
直販価格をもっています。
代理店は、その直販価格より安い価格で販売する
ことができます。
それの行き過ぎた形が、量販店の新製品から、
値引きあるいはポイントをつけた、
安売りです。
この行き過ぎが、どんどんメーカーを苦しめ、
量販店が自らの首を締め、
共倒れになったわけです。
参照:家電メーカーが落ちた落とし穴、オープン価格の罠
経済産業省は、このバイイングパワーが強大化し、
行き過ぎた状況を、なんとかするために、
メーカーが最低価格を指定できる
ように動き始めました。今年の6月のことです。
日経新聞:メーカーの価格指定容認 経産省・公取委、22年ぶり
値崩れ防ぐ狙い
しかし、この日経の記事がとんでもないガセネタだったことが、
後日わかりました。
経済産業省は確かに、そうしたい。と動いていたが、
独占禁止法を管轄する公正取引委員会は、
「再販売価格の拘束は、独占禁止法で禁じられており、
見直しは考えていない」
とはっきり否定しました。
どうした?日経新聞!
最近、勇み足が多いよ~!!
それは置いといて、
この独占禁止法の壁は、
とてつもなく厚いです。
そもそも自由競争は資本主義の、
根幹です。
その自由な競争を護るのが、
独占禁止法なわけですから、
経済産業省が、デフレだしなあ、
なんとかしなきゃなあ、
と易々と手をつけられるような、
代物ではないのです。
ですから、
直販で、
直販価格 > 代理店販売価格
という状況は、避けられない。
と覚悟しましょう。
- 投稿タグ
- 流通